追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 今ある住居を解体する組、整地をする組、キャンプの準備をする組、おおまかに三つに分けると、全員が作業を開始した。
 ディオとオット率いる解体部隊は、旧住宅を勢いよく壊してゆく。何年も慣れ親しんだ家に思い入れもあるだろうに、私を信じて作業をしてくれる彼らの気持ちに報いなければいけない。
 私は宝石を用意し、整地に必要な機械、道具、キャンプセットを創造した。
 朝から始めて旧住宅の撤去が終わったのがお昼過ぎ、そのあとすぐ整地組が作業を始めた。

「ララさん、これで固い土が掘れるのかい?」

「はい。耕運機というもので、土を耕してくれます。力はほとんど使いませんから楽ですよ。使い方もすごく簡単です。では、一度使ってみますね」

 勤めていたホームセンターにあった最新型の耕運機、小型でもよく動き振動が少ないので疲れない。そんな理由で耕運機部門では売れ筋ナンバーワンだった商品である。
 ウーノたちの前で使ってみると、彼らは「おおっ」と驚愕し、我先にと群がって来た。現代でもこの世界でも、男子・男性というのは機械が好きなのだろうか? これでロボットでも創ろうものなら、誰が乗るかで絶対揉めるだろうな。
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