嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 服装が上等なものを着ていたため、私が貴族の娘と判断したゴウ侯爵は、馬車を急がせて花の都に戻った。

 拾った私に大きな外傷はなかったが、右足が尋常でなく腫れていた。あと、手や顔にも擦り傷がある。

医者に見てもらうと、足の骨は折れていないようなので、結局のところゴウ侯爵夫妻の邸宅で静養することになった。

 だが、なかなか目が覚めない。途中、熱も出てきてうなされてきたため、寝間着に着替えさせたり身体を拭いてくれたりしたようだ。本当に感謝しかない。

ゴウ侯爵夫妻が拾ってくれたことで、私は人目につくことがなかった。貴族の娘が供もつけず道端で意識を失っていたとなると、さすがに生家まで責任を問われることになるだろう。

それは、私自身の醜聞にもなる。そのことを思い、ゴウ侯爵夫妻は私のような娘を拾ったことを外に漏らさないようにしてくれた。

 さらに侯爵の妻であるメイティーラさんが、きめ細かく私の世話をしてくださることで、私は安心することができた。

 目覚めた直後に泣いてしまったが、それからは泣いていない。

 メイティーラさんは、私がなぜあそこに倒れていたのか、そのことについては詳しく聞いてこなかった。

ただ、心配されているだろうから、家族のことを教えてほしいと言われたけれど、

「その、家族にも知らせたくなくて。しばらく、しばらくいさせてください」

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