嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 俺は立ち上がると、ディリスから手紙を奪い取るようにしてそれを読む。確かに、リアリムが攫われた日にあの街道で女性を助けたとある。そして、その特徴から、リアリムと推察されるようだとあった。

 連絡が遅くなったのは、彼女がしばらく名前を伝えなかったから、とある。

「名前を言わなかったとは、どういうことだ?」

 嫌な予感がするが、ディリスはとにかく確認することだ、と言った。

「ウィル、お前が迎えに行って欲しい」

「ディリス、お前は行かないのか?」

 神妙な顔をしたディリスは、俺に手紙を託しながら口を開く。

「俺は、王都で犯人を追うことにする。リアリムの迎えは、ウィル、お前の役目だ。お前が行かないなら、俺が行く。だが、俺が帰ってきても、お前は二度とリアリムの前に姿を表すな」

 ディリスは今までになく真剣な顔で俺に迫る。その彼に、俺も真剣に答える。

「わかった、俺が行く。リアリムは、俺が迎えに行く」

 力強く答えると、ディリスは頷きながら俺に伝えた。

「もう、妹を泣かせるな。もし、お前を見て泣くようなら、俺が行くからな」

「ディリス、余計なことを考えるな。出るぞ」

 俺は早駆けできる馬を指示し、外套を羽織る。花の都であれば、3時間も駆ければ到着するだろう。

 俺は大きく息を吸うと、リアリムのいるであろう邸宅を目指して駆け出した。







< 163 / 197 >

この作品をシェア

pagetop