嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 大道芸を見せる団体が来ているのか、広場のあちこちで芸を披露している。中には怪しげな魔術を応用した芸もあるようだが、空から花を降らせるなど、見ていて楽しめるものが多い。

 護衛は目立たないように後ろに控えているが、こうして街歩きを二人でするのは、ウィルティムにとっても新鮮だった。

「リア、ホラ、あそこにも面白そうな人たちがいるよ」

 くるくると表情を変えるリア。恋人関係となってから、ぐっと距離が近づいた。彼女の仕草や、その言葉の一つ一つが可愛らしくてたまらない。

 思えば、リアは「平凡が一番」といったように不思議な信念の持ち主だった。その不思議さに惹かれたところもあるが、今ならその意味がわかる。

 ユゥベールから異世界転生の話を聞いた時は、そんな馬鹿なことが、と思ったが確かに二人に共通するのはその不思議な信念だ。

 この世界での常識を常識としない視点を持っている。

 本当に、彼女をこの手に取り戻すことが出来て良かった。攫われたと聞いた時、俺の中をどす黒い感情がうずめいたが、今や、リアの笑顔で浄化されたかのようだ。

 本当に、ずっとそばにいて欲しい。いや、いてもらう。

 その為に出来ることを、また一つ一つ考えていく。リア、もう、決して離さない。俺の半身。

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