嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 いつものように口に運ばれる。周囲にいるお客の中には、たぶん護衛の人達もいるのだろう、王子がかいがいしく世話をする姿に、固まる者や口を開けたままの者までいた。

「ウィル、あのね、ここでは自分で食べるからね」

 さすがに恥ずかしくなってきて、止めて、とお願いする。けれど、やっぱり話を聞いてくれないので止まらない。

「ウィル、あのね、また毛を抜くよ、いいの?」

「う、わかった。ここでは止めておこう」

 スプーンを置いて、こちらをジトっとした目で見てきた。私はちょっと睨むと、ウィルティム様は視線を逸らした。

「あのね、今だから言うけど。宣誓書もショックだったんだよ。なんだか、騙されたって言うか」

 前回の居酒屋では、酔った頭で血判まで押すことになった。騎士団長まで巻き込んでいて、ちょっと恨んでいたのだ。

「いや、どうしても、リアを繋ぎ留めたかったんだ。すまない」

 素直に頭を下げる彼に、しょうがないなぁ、と思い頭を撫でる。

「ウィルは、どうしてそんなに私がいいの? 時々、わからなくなるっていうか、自信がなくて」

「リア、君の魅力を語らせたら時間がなくなってしまうよ。俺には君の全てが愛らしくみえる」

 そう言ってまた、蕩けた目でみつめてくれるウィル。私の心をいつでも楽しませてくれる。最近は話も聞いてくれるようになったから、明日はきちんと答えよう。

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