嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 お祭り前の喧騒の中、私は彼への想いを新たにした。お祭りの本番は、明日だ。明日こそ、パンツを贈ろう。

 夜は更けていった。







(はっ、お、おかしい! 何がって、何故私は)

 数日間の記憶が曖昧になっている。何故なら目まぐるしく時が過ぎて、一つ一つを整理して考えることが出来ていない。

 いや、考えられないように、忙しなくされているの、かもしれない。

 だって、だって、今日は。



「なんで私とウィルストン殿下の婚約式なのーー!」



 花の都でのお祭りの前夜、居酒屋で食事をした。エールを飲んだ、そこまでは覚えている。

 明日はお祭りだから、と、楽しみにしていた。まさかその日の夜に、王宮から迎えが来て、酔っているのに馬車に乗せられた。

 なんでも、ウィルストン殿下が陛下に呼ばれたため、急遽王宮に戻ることになったと馬車の中で説明された。

 それなら私はお祭りの後に帰るから、置いて行ってくれたら良かったのに。殿下は私を離してくれなかった。

(うー、ロマンチックに告白したかったのに)

 そう、私はお祭りの日にウィルティム様に恋人期間の終了と、ウィルストン殿下の婚約を喜んで受けると答えたかったのだ。

 その為に、用意したのに。異世界風パンツ。

(ぐすっ、まぁ結局はこうなることはわかっていたからいいけど。いいんだけど!)

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