嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 つい、嬉しすぎて叫んでしまう。この世界には小麦粉はあっても、区別がなかった。どうしても粉によりお菓子の出来栄えが変わる。

「こちらを買っていきたいけど、うーん、重たいからなぁ」

 まさか、デート中に粉ものを持って歩くわけにもいかない。どうしたものかと思っていると、ウィルティム様が話をつけてくれた。

「店主、すまないが配達をお願いできるか?」

「あ、あぁ。明日になるが、配達できるよ」

「では、こちらの粉と、こちらの粉を2キロずつ頼む。代金は、これでいいか?」

「あっ、ウィルティム様、私が払います。私の趣味なので」

 わたわたとして財布を探す私を、ウィルティム様がいいから、といって先に払ってしまう。

「いつも、お菓子をタダで食べさせてもらっているから、ね。その代金だと思えば安いものだ」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

 ここは遠慮なくおごってもらうことにする。

「しかし、初めて君に強請られて買うものが小麦粉とは、予想外だったな」

「へっ?」

「いや、こちらの話だ。さ、次の店に行こう」

 次に私たちは、お菓子作りのための道具を扱う店に行った。
ここでも私は、手に入れたかった道具や、可愛い型などを見つけて嬉しさのあまり奇声を上げてしまった。

「はわわ~、嬉しすぎる」

 デートであることを忘れるくらい、熱中してみてしまった。
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