嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「あ、いや、騎士団にいると、それなりに接する機会はあるから、な」

 そう言ってウィルティム様も、串刺し肉をかじっている。普段は美しい所作の彼が、お肉をかじりついている。それはそれで、普段の姿と違って面白い。

「ふふっ、ウィルティム様の新しい姿を見ることが出来ましたわ」

「それを言うなら、俺の方が君の新しい姿をみてばかりだ」

「幻滅されましたか? 普通の令嬢ではなくて。私はこうして連れ出してくださって、嬉しい限りですが」

 ちょっと拗ねた感じで彼をみると、そんなことはない、と目を開いて話してくれる。

「幻滅するだって? まさか! 君の新しい魅力を発見できて、嬉しい限りだよ」

 社交辞令としても、嬉しかった。私はかなりこの世界に馴染んでいるけれど、時々こうして転生前の性格がでてしまう。それを「貴族らしくない」と言われてしまっては、やはり悲しい。

「ありがとうございます。そう言っていただけると、嬉しいです。今日も、市場を見ることが出来て良かった」

「本当に、まさか初めてのデートで市場に来ることになるとは思わなかったよ。でも、どうして市場だったの?」

「えっと人々の生きた姿と言うか、物価とか知りたかったし、他にも貨幣の価値とか。本当に、この国の王様はいい王様みたいですね。インフレもないし、貨幣の信用もどうやら高いみたいですし」

「え? インフレ?」

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