嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「あ、すみません、物価が急に上がることです。王様の政治が良くないと、急に物価が高くなったり、お金の信用が、えっと、お金の価値が下がることでも物価は高くなるので。そうしたことが、近年ないということですから、王様の政治はきちんとしているんだな、と」

「君は、そうしたことをどこで習ったのかな?」

 ウィルティム様は、少し疑った目で私を見てきた。

しまった! 経済学の基本だけど。この国で習ったことはなかったわ。マズイかな?

「ほ、本です。確か本で読みました。ははは」

「そうか、君は変わっているだけではなくて、博識だな。経済に興味があるとは、ますます君を手放せないな」

「はいっ? 何か言いましたか?」

 また何か、微妙なことを言われたような。気のせいだろうか。

「あ、デザートの代わりといっては何ですが、クッキーを焼いてきました」

 そう言って、少しだけ焼いたクッキーを取り出して、ウィルティム様の目の前に差し出した。

「いつものクッキーですけど、ね。はい、あーん」

 一つ取り出して、彼の口元へ運ぶ。その私の手元をみて、ウィルティム様は驚いて固まっていた。

「はい、どうぞ。口を開けてください、な?」

 そう言うと、ようやく開いたウィルティム様の口へ、一つクッキーをポイっと入れてしまう。

 むしゃむしゃと食べた彼は、手で目元を覆っていた。よく見ると耳元が赤い。

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