毎週水曜日は青空甘恋クレープ日和
「女の子が一人で住むのに一階は危なくないか?」

 「ここです」と彰久さんを招き入れてすぐ。彼がそう言って眉根を寄せた。

「うん、よく言われる。けど引っ越すとなるとお金もかかっちゃうし、なかなか腰が上がんないんだよね」

 二階よりほんのちょっと家賃が割安なのは、きっと防犯面で不安があるからだろう。

 実はこの部屋、私一人で借りたわけじゃなかったから、最初は大丈夫だったんだけど、一人住まいになってしまった今は正直ちょっぴり怖い。

 彰久さんには言えないけれどここ、元々は元彼と同棲していた部屋なの。
 だからベッドも小柄な私には無駄に大きいし、部屋もワンルームじゃない。

 無職の彼と住むための部屋を私が借りて、一緒に住んで養っていた感じ。恐らく世間的に見ると〝ヒモ男〟ってやつだったんだよね、元彼。

 きっと彼、私をフった時にはもっと好条件の〝寄生先〟を見つけたんだと思う。

 もしかしたら私がフラれた理由の眼鏡や身長差も後付けの言い訳で、新しい彼女の元へ行くための単なる口実だったのかも知れない。
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