好きだけど、好きなのに、好きだから
「もう!喧嘩しちゃだめよ」

私は、彼を見上げて叱った。

はずだった……

「ほっとけよ」

背の高い佐伯君が、私を見下ろす。

あっ……

「佐伯!優里亜先輩に謝りなさい」

麻衣ちゃんは、佐伯君のその態度に大激怒した。

「こらっ!佐伯」

佐伯君は面倒くさいといった表情をして、体育館へと入っていった。

その彼を麻衣ちゃんが追いかけていく。

挨拶と返事以外で、彼が私に発した最初の言葉。

「ほっとけよ」かぁ……

生意気だと言っていた麻衣ちゃんの言葉は、決して言いすぎではなかった。

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