好きだけど、好きなのに、好きだから
ボールを誠が拾い、二人は向かい合った。

誠は人差し指の先で、ボールをクルクルと回す。

「練習始まるまで、相手してやってもいいぜ」

誠が、佐伯くんを一対一に誘う。

答えは、少しの沈黙の後だった。

「……いや、いいっす」

えっ……断っちゃった。

「何だと!」

誠、怒ってる……

佐伯君は、表情一つ変えない。

雰囲気は最悪……

「どうせあのダンクだって、まぐれだろ!」

もう誠!

一年生にムキになるなんて、大人げない!
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