八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 ショートブーツも買ってもらって、女の子らしいアイテムが増えた。
 水色が好きなこと、教えてないはずだけど……たまたまなのかな。

 試着したときに見た値札で、簡単に計算したけど、全部で結構な金額になっている。申し訳なさすぎて、すでに胃が痛い。

「今日は、アオイちゃんとデートって設定だから、よろしくね?」

「……はい」

 ショーウィンドウにうつる自分の姿に、少し恥ずかしくなる。

 女の子らしい服装は、久しぶりすぎて。似合ってないんじゃないかなって。悪い気は……しないけど。

 俺の言うことを聞け(そこまで強くは言われていない)とおどされて……正確には、頼まれての方が正しいのだろうけど。

 女子の格好でデートをすることになったのには、ちゃんとした理由がある。

 なんでも、琥珀さんは優しすぎるらしい。言い寄ってくる子たちみんなとデートをした結果、女子同士の争いが起こったとか(自業自得だと思う)

 そこで、わたしがウソカノになってくれたら、みんなあきらめてくれるだろうって。

 そんな簡単なことなのか、よく分からないけど。わたしに断る権利はないから、黙ってついていくしかない。

 ファッションビルを出て、しばらく進んだところにカフェが見えてきた。

 オシャレな雰囲気で、【アンティーク・スターカフェ】と看板が出ている。

「ここに寄りたいんだけど、いい?」

 こくんとうなずいて、琥珀さんの一歩後ろを歩く。

 薄暗く感じるけど、どんなお店なんだろう?

 緊張しながら店内へ入ると、天井がプラネタリウムみたいになっていて、キラキラしている。
 まるで、星空の下にいるみたい。とってもきれい。
< 119 / 160 >

この作品をシェア

pagetop