ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
シャーロットはディーバン男爵家の一人娘だった。13歳の頃、両親は彼女を残し、馬車の事故で亡くなってしまう。一人になってしまったシャーロットに、それまで疎遠になっていた父の弟である叔父が現れ、後見人となってくれた。

叔父は一緒に暮らそうと言ってくれた。その言葉にシャーロットは喜んだ。
すぐに叔父夫婦とその息子カルロ、シャーロットと同じ歳の娘ソフィアが男爵家に移り住んで暮らす事になったのだが、その日からシャーロットの部屋はソフィアが使い、彼女は屋根裏部屋に移された。
その上、娘ではなくメイドとして、この家に置いてやると言われた。

 叔父夫婦は兄の残した遺産を手に入れる為、残された娘を引き取る事にしたのだ。しかし家族として一緒に暮らす義理は持ち得なかった。だが、同じ家で暮らさねば遺産が手に入らない、だからメイドとして使うことにしたのだ。それならば一人分の給金を払わずに済むとまで考えた。

 男爵令嬢として育ってきたシャーロットには、メイドの仕事の何もかもが初めての事だった。屋敷に以前からいるメイドに教わりながら、彼女は洗濯や掃除をした。

叔父達はシャーロットが慣れない仕事で失敗をすれば容赦なく罵声をあびせた。

どんなに虐げられても、彼女は家を出て行こうとは思わなかった。いや、思えなかった、ここはシャーロットの生まれ育ったディーバン男爵家、両親との思い出の積もる場所だったから。


 3年の月日が流れた。仕事ができるようになっていたシャーロットだったが、相変わらず叔父達は彼女に冷たく当たっていた、それが彼等の日常になっていたのだ。

この頃になるとシャーロットの気持ちも随分と変わってきた、もう家にこだわる事なく何処か違う所へ行きたいと思う様になっていた。

 そんな時、叔母から城で働き手を募集しているから行ってくる様にと言われたのだ。贅沢な生活で、遺産が残り少なくなってきた彼等は、単に遊ぶ金が欲しくなった。

「ただし、平民として働いてくるのよ、我が男爵家から働きに行かせていると分かれば、私達の恥ですからね」

シャーロットは頷いた。どんな理由にせよこの家から離れられるのだ。たった半年だけであるが… 。
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