ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

城で起こったこと

エスターとシャーロットが甘い甘い甘ったるい時を過ごしている間……



 城はある噂で持ち切りだった


「最近、出るんだって……」

「うそっ! また⁈ 」
「以前出たのって十年以上前でしょう?」

ゴシゴシと洗い物をする手は休む事なく、ランドリーメイド達の会話は続く。

「なんでも、啜り泣く様な声と小さな悲鳴が聞こえるらしいよ、アレよね兄王子に殺された時の……」

「今回は血塗られたドレスが落ちていたって!」
「えっ!本当ーっ⁈ 」
「そう、庭師が見つけたらしいわよ、引き裂かれたみたいにボロボロだったんだって……」

「落ちる人影も出るんでしょう⁈ 」

「そう……夜中に窓から落ちる人影を見たらしいわ」

「アレよね、『北の塔の姫と兵士の幽霊』!」

「怖いーっ!」

きゃーっ! 
洗い場にはメイド達の怯える声が響いていた。




噂の真相は知る人ぞ知る……


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