ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

そういう事か

エスターはキャロンに組み敷かれていた。

「僕はこういう事、されたくないんだけど」

「それって、今から何をするか分かっているって事でしょう」

 キャロンはエスターを見下ろし微笑を浮かべた。
長い尻尾で首を撫で上げられ、怪訝な顔を彼女に向ける。

……何故こんな事をされるのか分からないが不快でしかない。
弾き飛ばすのは簡単だが……どうすればいいのか……相手は騎士とはいえ女性だ。


「開けるぞ」
オスカーの声が聞こえて、すぐに幕が開けられた。
組み敷かれている僕を見て目を丸くしている。

「……お前達、何してるんだ?」

キャロンは慌てふためく事もなく
「隊長か……いいところだったのにな……はぁ」
そう呟いてエスターの上から退くと何事もなく外へ出て行った。

「エスター……お前もしかして浮気?」
「は? 何言っているんだよ、突然押し倒されたんだ。弾き飛ばそうかと考えていた所にオスカーが来た」
「そうか」

……さっき尻尾で撫でられた首が気持ち悪い。
僕は手で何度も首を拭った。
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