ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

輝く夜

それは、オスカー様がレイナルド公爵邸へと帰って来られた次の日。

 エスターはオスカー様と騎士団本部へ朝から出掛けて行った。

「今日は二人とも遅くなるとヴィクトールに連絡があったわ、先に夕食を済ませておきましょう」

 夕食をヴィクトール様とローズ様と共に先にとり、私が客間へと戻ると、何故かカミラさんから早めに入浴を済ませるように告げられた。

( ……何かあるの?)

 今日は、なんとなく皆の様子がおかしい感じがする。
私に何か隠しているみたいに、表情もぎこちない。

……まさかエスターに……何か……
などとつい悪いことを考えてしまう。

 気持ちを切り替えて、浴室から部屋へと戻ると、そこには見たことのない美しいドレスが置いてあった。


「これは……」

「エスターがあなたのために注文していたドレスよ」

 部屋で、私を待っていたローズ様が教えてくれた。

「エスターが……私に?」

「そうです、それは熱心にデザインをされておりました」

カミラさんが大きく頷き話すと、ローズ様がそうなのよ、とクスクスと笑う。


「さあ、着て見せてちょうだい」

 ローズ様に促され、私はドレスを纏う。
 
 彼の髪の色を写した様な銀色の生地の、肩を出した形のドレス。
 エスターの瞳と同じ青い宝石が胸元を飾り、そこから小さな銀色と青色の煌めく石がドレスの形を縁取り、細腰までを纏う様にあしらわれている。それらが、少し動くだけでもキラキラと輝きを放つ。
 腰の辺りからは、金色の薄いレースが薔薇の花びらの様に何層にも重なり、陰影をつけながら裾へと大きく広がっている。

 カミラさんがドレスに合わせて、髪を結ってくれた。耳の辺りは少し残して後ろ髪を巻き上げる。

「お化粧は薄くでよろしいですね、シャーロット様はまだお若いですから」
そう言って軽く白粉を叩くと、頬紅と口紅をつけてくれた。
最後に、肘まである金色の手袋を着ける。

 ローズ様は私の髪に白い花を着けながら「とてもキレイよ」と褒めてくれた。
「本当に、花のようですね」カミラさんがドレスの裾を直しながら微笑んでいる。

 二人に褒められて、恥ずかしい様な嬉しい様ななんとも言えないくすぐったい気持ちになった。


「さあ、エスターが待っているわ」
「えっ?」
「きっとお待ちかねですよ」

 満面の笑みを浮かべた二人に連れて行かれたのは、三階の壊れたエスターの部屋の前だった。
そこにはヴィクトール様とオスカー様、執事のバロンさんが私達が来るのを待っていた。
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