アンドロイド・ニューワールドⅡ
奏さんもついに、堅豆腐の精神を身に着けたようですね。

何よりです。

やはり、きっぱりと断ることは大切ですね。

男女交際の誘いは、あれほどきっぱり断っていたのに。

友達としての誘いは、断るに忍びないようです。

もっと断って良いと思うのですけどね。私は。

しかし、これでも奏さんは、かなり断っているつもりのようです。

何せ、あのアンドロイド。

琥珀さんは、異様に押しが強いからです。

今でも、朝奏さんが施設を出ると、そこに待ち構えていて。

学校まで、一緒に来るそうです。

その姿を、私は見たことがありませんが。

想像すると、脳内の回路がショートしそうになったので、やめました。

何故このような現象が起きるのか、疑問です。

メンテナンスなら、ついこの間受けてきたばかりだというのに。

奏さんが、何度も「こんな朝から待ってなくて良いから」と言っても。

琥珀さんは、「通学路なので」を押し通しているそうです。

確かに、同じ通学路にある友達同士が、一緒に登校するのは間違っていない…の、かもしれませんが。

何だか釈然としません。

おまけに、同じ理屈で帰りもそうです。

「通学路なので」を理由に、校門の近くや、学校玄関の付近で、わざわざ奏さんが来るのを待ち構えています。

何なら、放課後になると教室まで迎えに来ます。

非常にしつこい、油汚れのようです。

そして、琥珀さんが出しゃばってくるのは、登下校だけではありません。

相変わらず、昼休みになると、彼女はこの教室にやって来ます。

お弁当は、「金輪際必要ない」と奏さんが拒否したので、さすがに作ってはきませんが。

お弁当の代わりに、サラダやフルーツを持ってきます。

「パンだけでは栄養が心配だから」と理由をつけて。

それも奏さんは拒否しましたが、しかしそうしていたら、今度は食後のデザートを持ってくるようになりました。

つい四日前のことです。

ご丁寧に、琥珀さんの分と、奏さんの分のケーキを持ってきました。

ちなみに、チーズケーキでした。

琥珀さんは、チーズケーキが好きなのかもしれません。

「美味しいお店で買ってきたから」と、奏さんに持ってきました。

奏さんは断ったのですが、「今食べなかったら、消費期限が切れるから」と、半ば脅迫し。

「じゃあ今回限りね」という魔法の一言で、一度大目に見たのが四日前のこと。

それに味を占めた琥珀さんは、三日前から。

なんと、今度は手作りのお菓子を持ってくるようになりました。
< 303 / 467 >

この作品をシェア

pagetop