アンドロイド・ニューワールドⅡ
30分後。

私は、市民図書館に到着しました。

「こんにちは、奏さん」

「あ、瑠璃華さん。ごめんね、いきなり呼び出して」

「いえ、大丈夫です」

と、私は言いました。

お隣の夫婦喧嘩の行く末を、観察していたかったのも事実ですが。

やはり、こうして友人と会うのは格別ですね。

私がいない間に、夫婦喧嘩が更なるヒートアップを遂げていないことを祈りましょう。

「図書館の場所、すぐに分かった?」

と、奏さんは尋ねました。

「はい。脳内で検索しながら来ました」

「の、脳内…。えーと…便利だね、瑠璃華さんは…」

と、奏さんは言いました。
 
お褒めの言葉、ありがとうございます。

『新世界アンドロイド』として、とても光栄です。

「じゃあ、入ろうか」

「はい」

と、私は奏さんに続いて、図書館に入りました。

ここには、初めて来ましたが。

とても綺麗な施設ですね。

「市立の図書館にしては、かなり広いですね」

と、私は言いました。

図書館ですから当然ですが、館内の本棚には、所狭しと本が並べてあります。

勿論、『Neo Sanctus Floralia』の図書室ほどではありませんが。

市立の図書館としては、充分なのではないでしょうか。

「瑠璃華さん、読書家だもんね」

「はい。人間のことを知るには、人間の書いた書物を読むのが効果的です。特に『猿でも分かる!』シリーズは、私の愛読書です」

「あぁ、あのシリーズ…。いや、あれはちょっと…どうかと思う本もあるんだけど…」

「探してきても良いですか?」

「え?あぁ、うん。どうぞ」

と、奏さんが言いましたので。

私は少し館内を散策して、興味深い本を探してみることにしました。

面白そうな本があったら、是非借りてみたいものです。
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