望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 魔力が? 魔力がどうした?
 魔力を使い切ったのか? 魔力を使い切ったから気付けたのか?
 つまり、今までは彼女の魔力に邪魔をされて気付くことができなかったというのか?

 彼女が運命の番でありあのときの女性であった、という事実に――

「兄さん?」
 アドニスは急に黙り込んだ兄が気になって、思わず兄を呼んでしまった。

「この女はお前には渡さない」
 レイモンドが静かに呟いた。

「望むところです」
 アドニスが不敵に笑った。
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