望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「え。ごめんなさい。そんなに?」
 慌てて、カレンはその身体を起こした。

「義姉さん。夜更かしでもしたんですか?」

「え? 夜更かし?」
 昨夜は何をしていたのか、を思い出す。そういえば、怪我をしていたあの黒豹の除力を行ったんだった。それから治癒魔法をかけて。
 それよりも黒豹は?
 ベッドの上で首をゆっくりと左右に振る。だが、あの豹はいない。
 もしかして、昨日の一日は全て夢だったのだろうか。

「ごめんなさい、よく思い出せないわ」
 右手でこめかみを押さえた。

「奥様。お食事をお召し上がりになりますか? お部屋に準備いたしますが」
 メアリーがそう言うと、なぜかお腹が空き始めるから不思議だ。
「ええ、お願いするわ」
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