望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンはベッドの上で向きをかえて、そこから降ようとした。床に足をついて、立ち上がろうとしたとき、力が入らなかった。

「義姉さん、大丈夫ですか?」
 それにすぐ気づいたアドニスが彼女の右腕を掴んでくれたため、倒れ込むところまではいかなかった。

「何をやっている」
 低い声が響いた。冷たくて低い声。カレンが身構えたことを、アドニスはその掴んでいる腕を通して感じた。
 この声の主は、この屋敷の主でもあるレイモンドだ。
 彼はつかつかとカレンの側に寄ると、彼女を軽々と抱き上げた。そして、ベッドの上にそっと戻す。

「旦那様」
 カレンが声をあげた。

< 104 / 269 >

この作品をシェア

pagetop