望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「魔法は封じたけれど、少しの魔法なら使えるはずよ。自分が必要なときに自分で判断して使いなさい。だけど、これだけは忘れないで」

 魔法は人を殺すための道具ではない。

「カレン。必要な荷物だけをまとめて。もうすぐ奴らが来るから」

 必要なものと言われても、質素な暮らしをしていたから下着や服などしか思い浮かばない。

「カレン。あなたの服でこれを包んで持っていきなさい」

 母親から差し出されたのは一冊の魔導書。

「基本的な魔導書だけれど、これは必ずあなたを助けてくれるから。他の魔導書はここに隠す」

 ここ、つまりこの家。見えるようにたくさん並んでいる魔導書をどのようにして隠すのか。カレンにはわからなかったが、カレンの魔法を封じたくらいの母親だから、そのような大事も難なくこなすのだろう。

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