望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 星空というのは意外と明るい。そこに何かがある、ということが認識できる程度に。そのうっすらとした明かりが部屋にも入り込んでくる。

「カレン」
 名前を呼ばれた。この状況で人の名を呼ぶような人物は一人しかいない。
「眠ってしまったか?」

「いいえ」
 とだけ答えた。
「そうか」
 と返ってくる。
「そちらへ行ってもいいだろうか」

 突然、何を言い出すのか。カレンの心臓がいきなり大きく鳴り出した。

「あの子になってくださるなら、いいです」

 レイモンドが隣のベッドから降りて、カレンの顔の脇に手をついた。

「妬けるな」
 その声と共に彼の唇がおりてきた。

「君を抱きたい」
 耳元でそう囁かれ、カレンには為す術がなかった。
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