望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 レイモンドはカレンの首の後ろに腕を回し、そっと彼女の身体を自分の方へと抱き寄せた。

「君と初めて出会ったのは二年前だ」
 覚えているか、と問われれば、カレンも覚えている。怪我をした黒いあの子。
「あの子は、顔が半分潰されていました」

「そうだ」

「だから、お母さんに教えてもらいながら、私が治療をしました」

「そうだ。君はとても優しかった。君のおかげで私は生き延びることができた。あのとき、君が私の運命の番でないのか、という思いが生まれた。だが、獣化したままではそれを確認する術がなかった」
 獣化の状態では、その感じ方が違うらしい。

「私は、それを確かめるために、一年前にもここに来たことがある」

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