望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「早かれ遅かれ、ダレンバーナの女は始末しなければならない。あなたたちにその気がないのであれば、私が一人でやりますが?」
 首を傾けて笑う姿は、まるで悪魔のよう。

「奥様」
 カタンと音を立てて立ち上がったのは、あのロバート。

「どうか、どうか……。妻を助けていただけないでしょうか」
 彼はその言葉を身体の底から絞り出しているように見えた。

「ロバート」
 レイモンドの制する声が響く。

「かまいません。続けなさい」
 カレンの凛とした声がそれを促す。

 ロバートの妻は、やはり隠れ獣人だったらしい。ロバートが仕事で不在のときに、王太子妃主催のお茶会に出席した彼の妻は、そのまま帰ってこなくなった、とか。

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