望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「クズらしいやり方ね」
 腕を組み、唇の周りを舌でペロリと舐めるカレンは、餌に飢えている野獣のようにも見える。

「それで、あなたたちは。その愚行を黙って見ているつもりなのですか」

「ですが、彼らは魔導師を」
 騎士のうちの一人が発した。カレンはその言い訳を待っていた。

「だったら、こちらも魔導師で対抗するしかありませんね」

「その魔導師がどこにいるのですか」

「ここに」
 カレンは素早く右手を振ると、人のいない窓際の方に向かって氷の魔法を放った。あまりにもの速さと出来事に、周囲は息を飲む。

「カレン」
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