望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 レイモンドは再び妻の名を呼ぶ。
「一体、誰が片付けると思っているんだ」
 その呟きに、くすくすと笑いがこぼれ始め、周囲がざわざわと動き出す。
 緊張していた空間が和らいだ瞬間。

「団長の奥様は、魔導師でしたか」
 茫然とするロバートが口にした。

「ええ。公にはされていませんので。闇魔導師ですが」
 ふふっと妖艶に笑うカレンは楽しそう。闇魔導師という言葉に自分で溺れているに違いない。

「旦那様。どうか指揮を執ってください」
 カレンが冷静にそして力強く呟く。すると。

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