望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 何も礼儀正しく、昼間からご挨拶にいかなくてもいい。狙うのであれば、警備が薄くなる深夜だ。
 カレンはロバートと共に外から侵入していた。レイモンドたちは別ルートから。それぞれの役割が異なる。
 カレンの目的は、そう、王太子妃の首を捕ること。半分だけ血の繋がっている姉。だけど、あの女の血を引いている姉。許せない、許さない、許せるわけがない。

「ロバートさんは、狼なんですね」
 半獣人化したロバートを初めて目にした時、カレンは目を細めて言った。ロバートは頷く。
「私が先に行きますので、奥様は私の後をついてきてください」

「ええ、ありがとう」
 カレンの先導者をロバートに、と決めたのもレイモンド。

「あの、奥様はお聞きしていますか?」

「何を、でしょうか」
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