望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 先ほど、カレンを見送るためにこの部屋へ来たはずなのに、いまだに眠り続けているこのダレンバーナの騎士たちの存在をすっかりと忘れていたのだ。足元を凍り付かせていたものは、今はすっかりと溶けて、水に濡れた跡を作っていた。

「団長。この者たちはいかがいたしましょうか」

「そうだな。地下牢にでもぶち込んでおくしかないだろう。幸いなことに、地下牢はいくらでも空いているらしいな」
 レイモンドは満足そうに笑った。
 今の言い方も、このタイミングで笑うのも、カレンに似ているような気がする、と自分でも思う。

「そのようですね」
 ロバートはそれに気付いたのかもしれない。静かに笑った。
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