望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「ですが、ダレンバーナにまだ捉えられている捕虜の方はどうするのですか? そうなったときの捕虜です。彼らがこちらの動きに気付いたら、間違いなく一番先に殺されますよ?」

「だから、そこを君にも協力してもらいたい」

「私、ですか?」
 顔を上げると、鏡にうつるレイモンドと目が合った。
 レイモンドは静かに頷く。
「君は、ダレンバーナに戻るつもりだったのだろう?」
 首を持って、という言葉は飲み込んだ。

「そうですね」
 カレンは淡々と答えた。身支度を整える手を止める様子も無い。

「君がダレンバーナに戻るのであれば、私も一緒に行こう」
 レイモンドのその言葉にカレンは目を見開いた。また、鏡越しに目が合う。
「妻の里帰りに、夫が同行しなければ、夫婦喧嘩をしたと思われてしまうだろう?」
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