望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンは王城から少し離れた場所でおろされた。

「本当に、一人でいいのか?」
 レイモンドが不安そうに尋ねるが、その言葉にカレンは力強く頷く。
「はい。旦那様は、他の方をお願いします。これは、私とダレンバーナの争いですので。それに巻き込んでしまったこと、心からお詫び申し上げます」

「いや。いつかはやなければならないと思っていたことだ。それが、今だったということ」
 しばし、沈黙。
 だが、レイモンドが馬から飛び降りて、カレンを抱きしめる。
「カレン。お願いだから、生きることを考えてくれ」

 ドン、とカレンはレイモンドを突き放した。

「それでは、旦那様。いってまいります」

 優雅に頭を下げ、カレンはレイモンドに背を向ける。その背に向ける言葉など、レイモンドは持ち合わせていない。
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