望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンの背を見送る。本当はいつまでも見守っていたいその背中ではあるが、こちらも時間が限られている。
 獣化できる時間は残り二時間。その隙に仲間たちを解放する――。


「誰だ」
 カレンは堂々と正門からその王城内へ侵入しようとしていた。朝早くから仕事熱心な門番たちに止められる。

「カレン・ダレンバーナが里帰りしてきたと伝えなさい」

 すっと、門番たちの顔色が変わる。誰か隊長を呼んで来い、とそんな声も聞こえてくる。許可なくこの門をくぐることはできない。もし、許可が出なければ、無理やりにでもくぐるしかないだろう。すっと、構える。

「カレン様っ」
 カレンの名を呼び、そこで膝をつくのはあのケネス。
「お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」

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