望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う

「カレン……」
　その噛んだ唇からは、少し血が滲み始めている。

「お義母さま。あなたには、ダレンバーナ国王陛下の毒殺未遂の疑いがかけられております。まあ、疑い、ではなく事実ですけれどね」
　カレンはそこで唇の端を持ち上げた。
　いつの間に、この娘はこんな笑い方ができるようになったのだろうか、と王妃は目を疑う。一年前は泣き叫び、みっともない娘だったのに。
　だが、そこで目をすっと細め。

「最後に一つだけ。あなたに、教えてあげましょう。選択肢というものは最低でも三つ準備するものですよ」

　王妃は、先ほどまで振り回していた短剣を自分の喉元へ突き付け、そしてそれで勢いよく刺した。
　ケネスが制す間もなかった。