望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「カレン」

 優しく名を呼ばれ、目を開ける。すぐに視界に入ってきたのはレイモンドの優しい笑顔。

「目が覚めたか?」

 慌てて身体を起こそうとするカレンを彼は制する。

「君は倒れたんだ。だから、まだ起き上がらない方がいい。寝たままでも話はできる」

 レイモンドはベッドの脇の椅子に座っていたらしい。ずっとそこにいたのだろうか。
 カレンはレイモンドから視線を逸らして天井を見つめた。ふぅ、と息を吐く。

「夢を見ていました」

「そうか。どんな夢だ?」
 夢の話にさえ興味を持ってくれたレイモンド。その問いかけが、なぜかカレンの心をぽかぽかと温める。
「多分、幸せな夢」
 多分、ではない。それは本当に幸せな夢だった。

「カレン?」

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