望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 天井を見つめているカレンの目尻から、涙が溢れていた。不安になり、レイモンドは腰を浮かした。その顔を覗き込む。目が合う。

「カレン」
 レイモンドはカレンにそっと唇を落とす。
「驚いて、涙も止まっただろう」

「ええ」
 やっと笑みを浮かべたカレンに、レイモンドも安心したように微笑み返す。

 部屋の扉をノックされた。レイモンドが返事をすると、中へ入ってきたのはブレイグ。

「カレン様は?」
 ブレイグはレイモンドを見て、そう言った。
「今、目が覚めたところだ」

「もし、動けるようであれば陛下がお会いしたいそうですが」

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