望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「お利口さんね。私、着替えてくるから、少し待っていてね」
 カレンは豹の頭をくしゃりと撫でた。
 それから着替えるためにそこから離れる。さすがにこの汚れた寝間着のままでは眠ることはできないだろう。浴室で身体についた汚れを落とすと、カレンは他の寝間着に着替えた。
 静かに部屋に戻ると黒豹は大人しく身体を丸めていた。その隣にカレンは身体を横にして、その黒豹にピタリと抱き着いた。
「あなたは、温かいわね」
 黒豹のお腹に顔を埋め、カレンがその言葉を吐き出した。

 ピクリと黒豹が反応し、顔を上げる。

「ごめんね、驚かせちゃった?」
 カレンも同じように頭を持ち上げたが、黒豹がまた丸まって休む姿勢になると、安心したような笑みを浮かべてカレンも頭をおろした。そして、右手で優しく豹の背中を撫でる。

< 70 / 269 >

この作品をシェア

pagetop