望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンは目を細めた。黒豹はカレンが持ってきたお菓子を全て、ペロリと食べきってしまった。その後、水をごくごくと飲むと、カレンの頬をペロリと舐めた。ざらりとした感触。

「あなたも甘えん坊さんね」
 左手でそれの首元を抱きかかえて、優しく撫でる。気持ちよさそうに豹は目を細めていた。

「そうそう。あなたの怪我を治療しなければならないの。だから、もう少し我慢していてね」
 言うと、カレンは豹から離れて鏡台の前へと座った。また、あの分厚い本をカサリカサリとめくっていく。
 黒豹はまた顔を埋めた。

「へー、なるほどね」
 とカレンの呟きに、それは顔をあげた。いつもと違うくだけた口調。これが彼女の本当の顔なのか。
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