タケノコ令嬢は今日もタケノコ掘りで忙しい
「意地悪です」
 ロッサナは言う。「どうして黙っていたんですか?」

「聞かれなかったから、知っていたのかと」

「知らなかったから、聞かなかったんです」

 それから今までのやり取りを思い出し、恥ずかしくなってくる。本人を目の前にしてタケノコの方が大事とか、そんなことを言っていたのだ。

「ロッサナ。手紙ではなく、きちんと俺の言葉で伝えたい」
 その言葉に頷く。
「俺と、結婚して欲しい」
 その言葉には頷けない。

「少し、考えさせてください」

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