オアシス
生きる意味なんてなかった。
世界は真っ暗で、誰もわたしを気にする人はいなかった。
この世に生まれたことを望まれぬのなら、
どうして「生きよう」と思えるだろう。
枯れて。枯れて。粉々になって果てて。
死ぬことを望んだ。
希望なんてなかった。
……あなたに出会う前までは。


真っ暗な世界に、最初は淡い光が触れた。
光は優しくそして強く世界を包み、
温かさが溢れた。
枯れて枯れて、粉々になる前に、静かに雨が降る。
それは、染みて沁みてわたしをつくるオアシスになる。


次はわたしが誰かのオアシスになろう。
大丈夫。もうわたしはひとりじゃないから。
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