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永倉さんはイメージ通り、私を優しく抱くなんて事はなく。


ただ、自分の欲望をぶつけるように、腰を強く動かす。


初めは、それがただ痛いだけだったけど、
すぐに快感がともない、その激しさが心地好かった。


「あっ…、ん…、っあ…」


途中迄は、恥ずかしくて声を我慢していたけど、
その動きに合わせて声が漏れる。


前戯は雑だったけど、挿入されてからは、もう何度もイかされてしまう。


永倉さんは、跨ぐようにこの人の上に居る私をベッドへと押し倒すと、
さらに腰の動きを強くして、果てた。


白い液体が、私のお腹を汚す。







「―――お前、悪くなかった」


行為を終え暫くした頃、
永倉さんは煙草を吸いながら、
ベッドで下着一枚の姿で胡座をかいている。


「永倉さんも」


私がそう返すと、ふっ、と鼻で笑っている。


「お前、けっこう客と枕してんだろ?
佐伯が言ってた」


佐伯店長…。


あの人にそんな話なんてした事ないけど、
接客中の私とお客さんの雰囲気から、そう察したのだろう。



「佐伯店長、凄いですよね」


わりと、私は枕営業している。


その理由は、別に指名が欲しいとかじゃなく、ただ単に寂しさを埋める為だけ。


「うちは一応、枕は禁止だ」


一応、か。


きっと、枕をしている子はうちの店にけっこう居ると思う。


あの、アヤノさんだって。


「あんまり、派手にすんな。
店の品位に関わる」


この人の口から、品位なんて言葉が出るなんて、とちょっと笑うと、
ギロリと睨まれるけど。


それが怖いけど、先程迄の恐怖は感じない。

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