結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 そこで凛音を待っていたのは、新しい父親と圧倒的な美貌を持つ兄、そして十数名の使用人たちだった。

 歓迎の姿勢を見せてくれたのは父親のみで、当時二十歳の龍一と使用人たちの凛音を見る目は険しかった。

 その理由を凛音は使用人の陰口で知ることになる。

『水商売の女が良家から嫁いできた正妻を追い出すなんて、水無月家末代までの恥ね』
『本当に! あんな女を奥さま、その娘をお嬢さまと呼べなんて……やってられないわよ』

 凛音は知らなかったが、母親は龍一の母から妻の座を奪ったらしかった。

 それなら、嫌われるのも当然だ。そう思った凛音は、できるだけ龍一や使用人たちの視界に入らぬようひっそりと息をひそめて生活していた。

 だが、ふたりの結婚生活は一年も経たぬうちに終焉を迎えることになった。海外旅行中のセスナ機の事故で、そろって命を落としてしまったのだ。
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