結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「大丈夫か? 途中でノンアルコールに変えてよかったのに」

 水の入ったグラスを差し出しつつ、龍一は心配そうな顔で凛音を見る。

「あ、大丈夫です。迷惑かけてごめんなさい……」

 仕事の一環で参加しているパーティーなのに酔っぱらうなんて失態もいいところだ。

 凛音は身をすくめて小さく頭をさげた。龍一は長い指で凛音の顎をくいと持ちあげる。

「下ばかり見てると、余計に酔いが回るぞ」
「は、はい」

 上気した頬と潤んだ瞳で、凛音は彼を見返す。

 ぴくりと片眉をあげたかと思うと、龍一はすぐに視線を外して言った。

「すぐ戻るから、待ってろ」

 会場から姿を消した彼は、宣言どおりに五分もしないうちに帰ってきた。

「ほら、行くぞ」

 半歩前にいる彼を追いかけようとしたが、まっすぐに歩けず足がもたつく。

 自分で思っている以上に酔っぱらっているようだ。とっさに凛音の腰を支えた龍一がふぅと悩ましげな吐息を漏らす。

「つかまってろ」
「え……」
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