結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 ふわりと身体が浮いたかと思うと、凛音の身体はすっぽりと龍一の胸のなかにおさまった。いわゆるお姫さま抱っこだ。

 会場をあとにしようとしていた客人たちの視線がいっせいにふたりに注がれる。

「りゅ、龍一さん。その……」
「転んで怪我でもされるほうが手間だ。おとなしくしておけ」

 彼は周囲の注目をものともせずに、スタスタと会場を出てエレベーターに乗り込む。

 エントランス階におりるものと思っていたエレベーターがぐいんと上昇しはじめたことに凛音は驚く。

「下じゃないんですか?」
「上に部屋を取った。その様子じゃ車もきついだろ」

 さきほどの短い不在はこのためだったらしい。

 都心の夜景を見おろす最上階のスイートルーム。ふかふかのクイーンサイズのベッドに龍一は凛音の身体をそっとおろした。

「明日は休みだ。今夜はゆっくり休んで、明朝タクシーで帰ってくればいい」
「本当に申し訳ありませんでした」

 凛音は消え入りそうな声で言って、柔らかな羽毛布団で顔を半分隠した。

 龍一はさらりと凛音の髪を撫で、ためらいがちに口を開いた。
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