結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「私はおふたりを気持ち悪いなんて思っていませんよ」

 凛音の考えていることなど、大人な彼にはお見通しだったようだ。

「世の中にはいろいろな夫婦がいますから。親子ほど年が離れているとか、教師と教え子だったなんて話も聞く。イトコ同士も結婚できますしね」
「でも、龍一さんには立場が……」

 彼がごく普通の会社員なら、凛音も受け入れたかもしれない。でも、龍一には守るものが多すぎるのだ。ささいなことが大きく足を引っ張ることもある。

 菅原は顎の下にこぶしを当て、思案するようにななめ上を見る。

「まぁ、口さがないことを言う連中もいるでしょうが……そういう人種はなんにでも文句をつけるんですよ。黙らせるのなんて、社長にはお手のものですよ」

(本当にそうなのかな? 私が気にしすぎなの?)

 凛音の決意に迷いが生じたのを、有能な菅原は決して見逃さない。

「ひとりで決断せず、社長としっかり話し合うべきでしょうね」

 うまく懐柔されている気がしないでもなかったが……凛音はこくりとうなずいてしまった。

 菅原はにこりとほほ笑むと、かたわらのビジネスバッグからスマホを取り出す。
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