結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「それに、今は無理してはいけない時期でしょう。なにかあったら、どうするんですか」

 彼にしては珍しく、はっきりと怒った声で言った。

「知って……いるんですね」

 そういえば、出してくれたお茶も緑茶ではなくハーブティーだ。妊婦である凛音への気遣いだったのかもしれない。

 心配するなと言うように、菅原は柔らかく笑む。

「知っているのは私だけ。誰にも言いませんよ」

 菅原は龍一の右腕だ。彼にだけは打ち明けたというのも納得できる。

「私が無理やり頼んだことなんです。 龍一さんには、なんの責任もありませんから」

 凛音の必死の訴えを菅原はいつもどおりの微笑で受け止める。彼が凛音の妊娠にどういう感情を抱いているのか、その表情からはうかがい知れない。

 凛音は弱々しく続けた。

「それから……私がここにいること、龍一さんには言わないでください。無謀と言われても、今、彼に見つかるわけにはいかないんです」

 思いつめた顔でつぶやく凛音に菅原は目を細める。

「血はつながっていないはずなのに、社長と凛音さんはよく似ていますね。ふたりとも真面目すぎる」
「え?」

 菅原はおどけたように笑って肩をすくめた。
< 86 / 117 >

この作品をシェア

pagetop