結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 一番盛りあがってくれたのは、〝家族の肖像〟スタッフの横井奈央だろう。

 龍一登場回の視聴率がよかったので、同局内の別の経済番組に今度はスタジオ出演でどうかと話を持ってきてくれたときのこと。

「この番組は別に担当者がいるので、具体的なことはそちらからあらためて連絡させてください。水無月さんの連絡先を伝えて、大丈夫ですか?」
「はい。あ、私がこのところ体調不良でお休みすることもあるので、メールのCCに同じチームの田中も入れていただけると」
「えぇ、ご病気ですか?」
「いや、その……」

 頬を染め、視線を泳がせたのかまずかった。

 勘の鋭い彼女はすぐにピンときたようで、うまい具合に誘導され、すべてを打ち明けることになってしまった。

「い、言わないでくださいね」
「わかってるよ~。取引先としてじゃなくて、友達との雑談だもん」

 くだけた口調で、友達と言ってもらえたことが凛音はちょっとうれしかった。

 友人作りは得意じゃないが、彼女とはこの仕事が終わっても親しくできそうな予感がする。

「それにしても、ロマンティック~! 禁断の恋みたいで、憧れちゃう」
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