ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「よかったらどうだい?」
「いただこうかしら」

 シャルロットはつられるように相好を崩す。
 城下に来てまず最初に、シャルロットは貴族御用達の高級ブティックに立ち寄り刺繍の品々を売ってきた。今は少しだけ自由に使えるお金がある。
 結局、シャルロットはふたつのスナーシャの実を購入した。

 その後も歩きながら店を眺めていると、珍しいものが色々と売られていることに気付く。

(これは、勢いもあるはずよね)

 ダナース国は野蛮な平民が作った張りぼての新興国家だが、経済的な勢いがあり軍事力も強いので無視できない存在。
 それがダナース国の周辺国からの評価であり、だからこそエリス国王もダナース国から政略結婚の打診があった際に断ることは難しいと判断した。

(野蛮・張りぼてというのは同意しかねるけど、経済的な勢いがあるのは間違いないわ)

 過去何カ国か訪問したシャルロットからしても、ここは町全体が活気づいているのを感じる。
< 107 / 325 >

この作品をシェア

pagetop