ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
 シャルロットはここ数ヶ月間、この建国記念パーティーを成功させるために並々ならぬ努力をしてきた。記憶に残っている一度目の人生でのこのパーティーで起きたことを全て書き出し、評価を落とす原因とはなんだったのかを徹底的に分析し、それを一つひとつ潰す対策をした。さらに、来賓客への印象をよくするため方策を練った。

 そのひとつがこのウェルカムドリンクだ。
 国王であるエディロンが登場するまでの間も楽しく過ごしてもらうためのもので、用意した果実酒はダナース国各地から取り寄せた一級品だ。

「シャルロット、そろそろ行こうか」

 背後から呼びかけられて、シャルロットは覗いていたカーテンを閉めると振り返る。そこには、盛装したエディロンが立っていた。

 焦げ茶色の短い髪は、今日はすっきりと整えられて後ろに流されていた。黒いフロックコートの襟や袖には金色の刺繍が入っている。そして、襟元にはシャルロットの瞳と同じ水色の宝石を使ったブローチが輝いている。

 一方、シャルロットはエディロンの瞳を彷彿とさせるようなうす黄色の豪華なドレスを着ていた。胸元と耳にはダイヤモンドをあしらった金細工のネックレスが付けられている。

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