ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「そうだわ。読まないと」

 赤い封蝋が施されたこの封筒は、故郷であるエリス国から届いたものだ。シャルロットはペーパーナイフを手に取ると、その封筒の封を切る。中には、王妃様からの手紙が入っていた。

「嫁いだ途端、不思議なものよね」

 過去のループで異国の王室に嫁いだ際もそうだったが、シャルロットが先方の国に移り住んだ途端にエリス国の王妃──オハンナから頻繁に手紙が届くようになった。

 これまではまるでいないかのような扱いをしてきたくせに、一体どういう風の吹き回しだろうか。

 内容はいつも同じだ。『ダナース国王に気に入られるように誠意を持って尽くしなさい』『この結婚が上手くいくことを心から願っている』という二点だけ。今日はこれに加えて『記念祝賀会に参加できず申し訳ない』と書き添えられていた。

 シャルロットはその手紙を折りたたむと、元々入っていた封筒へと戻し、サイドボードの引き出しへとしまう。

 そのとき、背後からコンコンと音がした。

(何かしら?)

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